労働記録 EP.01 記念すべき第1稿
マニュアルなし、給与1ヶ月遅延、拘束9時間。
万引きGメンと携帯販売員を経験した
派遣社員の記録。
万引きGメン、モバイル販売員の派遣。
2つの職場に共通していたのは「マニュアルがない」ことだった。
ルールは各自のノートで私有化され、ミスした瞬間にだけ答え合わせが来る。
思考が、毎日少しずつ丸く加工されていく。
マニュアルはなかった
──紙も一覧も基準もない。あるのは各自のノートだけだった。
前職は万引き対策の仕事だった。紙も、一覧も、基準もない。あるのは研修中に自分で書いた走り書きのメモだけだ。会社のルールは公式文書じゃなく、各自のノートの中で私有化されている。そのノートが正解だったかどうかは、ミスした瞬間にだけ分かる。
その説明は電話だった。文字にすると強すぎる話は、声にして空気に溶かす。一回のミスは、説教を運ぶトラックになる。
分からなければ聞け、と言われるが、聞いた瞬間に「考えなくていい側」に振り分けられる。理解よりも服従が早い人間のほうが、場に馴染む。
9時間15分、意識が削られる
──拘束は時間じゃない。意識が引き伸ばされる。
今はモバイル販売員として家電量販店にいる。売り場に八時間立ち、休憩時間は油とカップ麺の匂いが混ざった空間に一時間押し込まれ、荷物チェックに十五分。時計で測れば九時間十五分だが、体感は十時間だ。拘束は時間じゃない。意識が引き伸ばされる。
思考の三割はトランシーバーの業務会話に持っていかれる。意味のない音が、静かに身体に染み込んでくる。静かな毒だ。
自分の脳が削られている最中に、笑顔を貼り付ける。そんな状態で、ふと「やりたいことはあるのか」と聞かれた。その瞬間、頭の中で何かが折れた。現役のエキスみたいな部分が、毎日少しずつ薄められているのが分かる。
頭を使えなくなる仕事が、致命的だった
──楽をしたいわけじゃない。思考が摩耗する設計に、もう長居したくない。
楽をしたいわけじゃない。怒られたくないわけでもない。ただ、自分の思考が摩耗することを前提に設計された仕事には、もう長居したくないと思った。
頭を使わない仕事が嫌なんじゃない。頭が使えなくなる仕事が、致命的なんだ。
この記事を貫く3つの事実
ルールは紙ではなく、各自のノートに「私有化」されていた。ミスした瞬間にだけ答え合わせが始まる構造が、思考を萎縮させる。
9時間15分の拘束は、数字以上に重い。トランシーバーの音、カップ麺の匂い、荷物チェック──「大したことない」の積み重ねが、一番きつい。
頭を使わない仕事ではなく、頭が使えなくなる仕事だった。それは不可逆で、致命的だ。
仕事はもう、このブログの燃料だ。それくらいの気持ちでないとやってられないからさ。
「大人になったら気にならなくなった」という終わり方だけはしたくない。感覚が鈍くなることを、成長と呼びたくない。
接客現場で感じた違和感。お客さんではなく、職場の人間に対するやつ。
こういうがちリアルな体験談を、これからもここに上げていく。力入れるよ。もうこっちを表面にして、仕事は表面のための苦痛ということにもっていかないとやってられないからさ。