携帯販売員の派遣、辞めると伝えた3日後に面談。
風邪の身体でGoogle Meet。
「改善できないなら辞めていい」と言われた話。
日曜に退職希望のメールを送り、月曜にGoogle Meet面談。
退職理由の6割は業務、4割は環境。
派遣会社は「改善を申し入れる。できないなら辞めていい」と言った。
最終出勤日は2月27日、金曜日だった。
最終出勤日まで
業務内容 : 職場環境
金曜日
この記事の前提。
EP.20の「続き」を書く。
EP.20で、2月20日の金曜日に「更新しません」と5文字だけ返信して、携帯販売員の派遣を辞めると決めた日のことを書いた。
あの記事は「辞めると決めた日そのもの」の話だった。
この記事は、辞めると伝えてから最終出勤日までの7日間と、1回目の面談の記録を書く。
EP.20からEP.22まで、全3本。
EP.20は辞めると決めた日。
EP.21は辞めると伝えてからの7日間と1回目の面談。
EP.22は最終面談の記録。
ちなみに、面談は計2回あった。
3名でのGoogle Meet
本記事で詳述
人事担当が登場
EP.22で詳述
「更新しません」から面談までの3日間。
思い詰めて、風邪を引いた。
2月20日(金曜日)の13時20分に「更新しません」と返信した。EP.20に書いた通りだ。
メールを送った直後の気持ちは軽かった。解放感があった。胃のキリキリも引いた。
でも──身体は、逆に壊れた。
金曜の夜あたりから体調がおかしくなった。鼻が詰まる。喉がいがいがする。頭がぼんやりする。風邪だった。
決断のストレスがメールを送るまで身体を支えていて、送った瞬間に糸が切れたんだと思う。思い詰めて、しんどくて、いらいらして、本当にしんどいと思っていたら──本当に風邪になった。
しかも土日が面談の準備で潰された。本来なら身体を休めるべき週末を、退職の段取りに使わなければならなかった。余計に腹が立っていた。
日曜日に送った、退職希望のメール。
面談の前日、日曜日に退職希望のメールを送った。
金曜日の「更新しません」は5文字だけだった。あれは意思表示であって、理由の説明ではない。だから改めて、なぜ辞めたいのかをちゃんと書いた。
今の現場では繁忙期ということもあり、なかなか仕事を教えていただけない状況が続いており、このまま三月末まで続けるよりも、早めに次の仕事を探すべきだと判断しましたので契約期間より先の退職を希望します。
これが実際に送った文面だ。
翌日──月曜日の朝、返信が来た。
お疲れ様です。
本日の面談で詳細聴かせていただければと思います。よろしくお願いします。
EP.20に書いた通り、「更新しません」と送ったあと「あっさり終わる」と思っていた。でもそうはならなかった。面談が設定された。
退職の意思表示が二段階になっていたことは、この記事を書いていて初めて気づいた。
面談。2月23日、月曜日、午前11時。
Google Meet。3名。
面談は2月23日の午前11時から始まった。Google Meet。オンラインだ。
風邪を引いていた。鼻声だったかもしれない。咳を堪えていたかもしれない。体調が万全でないまま、画面越しの面談に入った。
参加者は3名。
3人目のU氏は、この面談で初めて会った人間だ。営業担当という肩書きだったが、話を聞く限り、本人もかつてモバイル販売を3ヶ月でやめている。
その構図がおかしかった。
面談で聞かれたこと。
「今、何を考えていますか?」
面談は、自分が今何を考えているのかを聞かれるところから始まった。
優しい問いかけだった。
圧迫的でもなかった。事務的でもなかった。少なくとも面談の入り口は、こちらの話を聞こうとしている空気だった。
俺は正直に話した。退職理由を、自分なりに整理して伝えた。
退職理由の6割が業務内容。4割が職場環境と人間関係。自分の中では、そういう比率だった。
退職理由の6割。
「何もやらせてもらっていない」。
2ヶ月間、商品をご案内する役をずっとやっていた。それだけだった。
EP.13に書いた通り、教育はほぼゼロ。教わったのはフロアマップとスマホケースの案内と業務端末のパスワードだけ。あとは全部、自分で調べて対応していた。
「時間が経つのが遅すぎる」ということだった。
EP.12で書いた14時の絶望。あれは毎日やってきた。やることがないのに立ち続ける。暇なのに帰れない。頭を使わないのに疲れる。時間が過ぎるのが遅すぎて、それ自体が苦痛だった。
この「時間が遅すぎる苦痛」が、退職理由の約6割を占めていた。
退職理由の4割。
休憩室で休めない。厳しい上司。
残りの4割は職場環境だった。
まず、休憩室。
休憩室であるにもかかわらず、会議などのちょっとした話し合いの場として頻繁に使われていた。同じ空間で業務の会話が行われているから、自分の行動が見られているのではないかと感じてしまう。心が休まらない。リフレッシュできない。
休憩室の環境だけで辞めると決めたわけではない。でも、「時間が遅すぎる苦痛」と組み合わさると、精神的な負荷が一気に増す。
もうひとつ。厳しい上司が1人いた。
EP.12でトランシーバー越しに指示を出していた人物。EP.13で「今そんなの教えてもしょうがないでしょ」と言った人物。あの人がいるだけで空気が変わる。心理的な圧迫が常にあった。
時間が遅すぎる。
教育もない。
見られている気がする。
心が休まらない。
これが4割の正体だった。
「仕事が合っていれば、
厳しい上司がいても辞めなかった。」
面談の中で、自分でも驚いた言葉が口から出た。
上司が厳しくても辞めたいとは思わなかったと思います。
つまり、人間関係が4割と言いながら、本当の致命傷は「やることがない」ことだった。
厳しい上司は嫌だった。休憩室も不快だった。でもそれは、仕事にやりがいがあれば耐えられた可能性がある。
逆に言えば、どんなに職場環境が良くても、毎日ティッシュを配って商品を案内するだけの仕事を3月末まで続けるのは「結構きつい」。改善の余地が見えないまま、ただ時間が過ぎるのを待つだけなのは──無理だった。
EP.20で書いた内面の整理が、この面談で初めて言葉になって外に出た。
「じゃあどんな仕事がしたいですか?」
面談の途中で聞かれた。
はっきりした答えは持っていなかった。でも、なんとなく伝えたのはこういうことだった。
変化があること。成長を感じられること。新しいことに挑戦できること。自分の強みが活かせること。達成感があること。時間があっという間に過ぎるくらい夢中になれること。
しっかりした教育制度があって、自分で調べて放置されるのではなく、ちゃんと教わって育ててもらえる環境。それがあれば、多少きつくても続けられると思う。
進捗を感じられる仕事。ただ立って案内するだけでなく、変化と成長がある環境。教育体制が整っていること。自分の強みが活かせること。時間があっという間に過ぎるような仕事。
──書いていて思う。万引きGメン(EP.17〜19)の仕事は、これに近かった。孤独だし、地味だし、時給も高くない。でも少なくとも「やること」はあった。観察して、判断して、報告書を書いた。時間は、モバイル販売員のときよりはましだった。
派遣会社の対応。
「改善できないなら、辞めていい。」
面談の終盤。派遣会社側の対応が示された。
最初、メンターとU氏は「厳しい上司」や「休憩室の環境」については、社会人としてある程度我慢すべきポイントだという持論を展開していた。
それは分かる。完璧な職場なんてない。上司が厳しいとか、休憩室が不快とか、それだけで辞めるのは早いだろう。正論だ。
でも俺の問題は、そこじゃない。
業務内容の話──教育が一切ない、2ヶ月間ティッシュ配りだけ、成長の見込みがない──ここに話が移ったとき、空気が変わった。
「改善できないなら辞めていい」。
この一言で、俺は少し安心した。寄り添ってくれている、と感じた。単に「辞めないでほしい」と引き止めるだけではなく、派遣先に対して改善を確認するという具体的なステップを踏もうとしてくれた。
でも──正直に書く。
改善は難しいだろうな、と思った。
向こうはそもそもそういう気がない。気がする。だって半年経ってもまだモバイルアクセサリーコーナーにいる人がいたし、ティッシュを配って、ちょっとコーティングとかたまに案内を横で聞く──それだけの人を、俺はこの2ヶ月間ずっと観察してきた。
改善を申し入れたところで、向こうが動くとは思えなかった。
でも、面談の中で「いや俺本当にやめられるかもな」と思った。派遣会社が退職を容認する可能性が見えた瞬間だった。
面談が終わったあと。
Google Meetの画面を閉じた。
結構寄り添ってくれているじゃん──というのが、率直な感想だった。
でも同時に、「改善は難しいだろうな」という確信もあった。その両方が同時にあった。寄り添ってくれる気持ちと、現実は変わらないだろうという諦め。矛盾しているけど、それが正直な気持ちだった。
風邪はまだ治っていなかった。面談の緊張が解けた分、だるさが一気に来た。
この面談のあと、2回目の最終面談が控えていた。元アパレル店長の人事担当が出てくる面談。EP.20で「あなたにも至らないところがあったよね」と言われたと書いた、あの面談だ。
──それはEP.22で書く。
消化期間。
「辞める」と知っている売り場に立ち続ける日々。
面談が終わっても、まだシフトは残っていた。
2月27日の最終出勤日まで、数日間。辞めることが決まっている状態で、同じ売り場に立ち続けた。
不思議なことに、EP.20に書いた「終わりのある絶望」が続いていた。14時の絶望は相変わらずやってくるけど、「もうすぐ終わる」という事実が底に敷かれている。だから耐えられた。
周りのスタッフには、俺が辞めることは伝わっていたのかいなかったのか。少なくとも俺から直接言った記憶はない。派遣だ。契約が終われば消える。それだけの話だと思っていた。
最終出勤日の朝。2月27日、金曜日。
通勤路に、意味を見出してしまった。
「更新しません」と送った2月20日から、ちょうど7日後だった。
不思議と、2ヶ月しか働いていないのに「もう今日で終わりか」みたいな感覚があった。
通勤電車の中で、いちいち意味を見出そうとしてしまった。この電車のこの看板も今日で最後か。沿線のあの店も今日で最後か。結局この駅の近くに降り立つということは、もうしないんだろうな。
いつか出張か帰省かで戻ってきたとき、この日々のことを思い出すんだろうな。必ず。
俺はこの年にして、結構振り返るのが好きだ。過去に住んでいた場所にひとりで行ったりする。そういうことをする人間だから、この通勤路のことも、いつか思い出す日が来ると分かっていた。
2ヶ月しかいなかったのに、名残惜しい。嫌いだった現場なのに、「今日で最後」だと思うと通勤路に意味を見出してしまう。電車の看板。沿線の店。降りる駅。全部が「最後」になる。それはたぶん、人間の性質だと思う。
ここまでのまとめと、EP.22への布石。
2月20日(金)に「更新しません」と返信。
2月22日(日)に退職希望のメールを送信。
2月23日(月)にGoogle Meetで1回目の面談。
2月27日(金)に最終出勤日。
面談で分かったのは、退職理由の6割が業務内容(教育ゼロ・停滞・時間の苦痛)で、4割が職場環境(休憩室・厳しい上司)だということ。でも本音を言えば、仕事が合っていれば環境は我慢できた。つまり致命傷は「やることがない」こと、それだけだった。
派遣会社は「改善を確認する。できないなら辞めていい」と言った。
そしてこのあと、2回目の最終面談がある。
元アパレルの店長から人事担当になった人間が出てきて、俺がこの仕事への不満を話したら──
──と、返された。
その話は、次の記事で全部書く。
EP.21 面談と最終出勤日の全体像 ── 整理
| 面談日 | 2月23日(月曜日) |
|---|---|
| 面談時刻 | 午前11時 |
| 面談形式 | Google Meet(オンライン) |
| 参加者 | 3名(自分・メンター・U氏) |
| U氏の経歴 | モバイル販売を3ヶ月で退職 → SNSコンサルタント / 30代前半 |
| 面談時の体調 | 風邪気味(ストレスによる体調崩壊) |
| 前日のメール | 2月22日(日)に退職希望のメールを送信 |
| 退職理由の比率 | 業務内容 60% / 職場環境 40%(本人の自己分析) |
| 6割の内容 | 教育ゼロ・業務の停滞・時間が遅すぎる |
| 4割の内容 | 休憩室で休めない・厳しい上司1名 |
| 本人の核心発言 | 「仕事が合っていれば、厳しい上司がいても辞めなかった」 |
| 面談の雰囲気 | 優しい問いかけ。圧迫的ではなかった |
| 派遣会社の対応 | 派遣先に改善を申し入れ。改善不可なら退職を容認 |
| 面談後の感想 | 「寄り添ってくれている。でも改善は難しいだろうな」 |
| 最終出勤日 | 2月27日(金曜日) |
| 「更新しません」からの日数 | 7日間 |
| 最終日の朝 | 通勤路に意味を見出してしまった |
| 面談の回数 | 計2回(1回目=本記事 / 最終=EP.22) |
| 並行していた仕事 | 万引きGメン(月2回・EP.17〜19) |
| 帰り道の音楽 | 藤井風 or エミネム |
風邪の身体でGoogle Meetを開いて、
「改善できないなら辞めていい」と言われた。
2月20日に「更新しません」と打った。
翌日から風邪を引いた。思い詰めて、しんどくて、いらいらして、本当にしんどいと思っていたら身体が壊れた。土日は休めるはずだったのに、退職の段取りで潰された。
日曜日に退職希望のメールを送った。「繁忙期で仕事を教えてもらえない状況が続いており、契約期間より先の退職を希望します」と書いた。
月曜日の午前11時。Google Meet。風邪の身体で画面を開いた。
参加者は3名。自分と、メンターと、営業担当のU氏。U氏はモバイル販売を3ヶ月で辞めた人間だった。
退職理由の6割は業務内容。教育ゼロ、業務の停滞、時間が遅すぎる。
4割は職場環境。休憩室で休めない、厳しい上司。
「仕事が合っていれば、厳しい上司がいても辞めなかった」──自分でも驚いた言葉だった。致命傷は環境じゃない。「やることがない」こと、それだけだった。
派遣会社は言った。
「改善できるか確認する。改善できないなら、辞めていい。」
寄り添ってくれているとは思った。でも、改善は難しいだろうな。半年いてもティッシュ配りの人がいるのを見てきた。2ヶ月の俺に何が変わるのか。
2月27日、金曜日。最終出勤日。
通勤電車の中で、沿線の景色に意味を見出してしまった。この看板も今日で最後。この駅に降り立つことも、もうない。2ヶ月しかいなかったのに、名残惜しかった。
嫌いだった場所を去るのに、なぜか寂しい。
その矛盾が、たぶんこの仕事の唯一の置き土産だった。
次の記事では、2回目の最終面談を書く。
元アパレル店長の人事担当が登場する。
「あなたにも至らないところがあったよね」と言われた話。
それがEP.22だ。
でも改善は難しいだろうな。
半年いても変わらない人がいるのに、
2ヶ月の俺に何が変わるのか。
結局、改善を待つより先に最終出勤日が来た。